一方BP社は原油流出を食い止めるため、「トップキル」作戦を続行していた。油井に大量の泥状物質などを素早く流し込み、原油流出を止めるというのがこの作戦だ。こうした泥は、高圧環境下での油田掘削で圧力調整に利用される。
5月27日午後時点での政府当局のコメントは、「処理は順調に進んでおり、好ましい兆候が見られる」とのものだった。
しかしUSGSは、すでに生じた損害の激しさを示す決定的な証拠を公表した。海面に浮かぶ原油量と、いまではすっかり有名になったBP社の水中ビデオの映像から、1日あたり190万~300万リットルの原油が油田から流出しているとの推計値を発表したのだ。
この推計に基づけば、4月20日以降に流出した原油の総量は7000万~1億1千万リットルにも達することになる。
これまでは、1989年にアラスカのプリンス・ウィリアム湾で発生したエクソン・バルディーズ号の座礁事故がアメリカ史上最悪の原油流出事故と言われてきた。このときの流出量は4200万リットルだった。